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「わたしの3・11 あの日から始まる今日」を読んで

2011/07/18 コメントは受け付けていません

「あの日、何をしていたか。そして今、何ができるか。」

 2001年3月11日午後2時46分、私は震源から500Km以上遠く離れた名古屋の職場、9階建てのビルの8階でいつものように事務仕事をしていた。窓のブラインドがカチャカチャ音と立て出した。どこからか風が流れきたのか、窓は開いていないはずなのに。おかしいなぁ・・と思っているとゆっくりと揺れ始めた。

 大きな揺れではなかったが、数十秒、いや数分間か、長い時間揺れているように感じた。これは!阪神淡路大震災の時もゆっくりと長時間揺れたから、遠くで大きな地震が発生したようだ。東京か?大急ぎでテレビをつける。東北、仙台沖のようだ。思わず「仙台沖のいつもの地震にしては少し大きかったぐらいかな。」と考えてしまった。これほど大きな被害が起きているとは思いもせず。

 それからはテレビ画面の津波をじっと見つめ、狼少年だろうと思っていた大津波警報がそれ以上のものである事を画面を通じてやっと感じ、がれきや油、船や住宅を含んだ黒い水の塊が、田んぼを這い、ビニールハウスを押倒し、逃げようと必死で走っている多くの車を一呑みしていくところをまるでCGや特撮を見ているような感触で声も出さずに見入っていた。

 テレビの画面を通じて、或いはtwitterを通じて被害の様子を知ることはできた。でもそれは生の感触ではない。本当であれば、現場に行って、被災者の声を聞き、空気の匂いをかいでこそ被災者のことや被害の大きさを知ることが出来るものだろう。そんなもどかしを感じていた。このところずっと。

 本書では被災地、東京その他の場所で、多くの人たちがあの瞬間をどのように迎えたのかが纏めてある。
 間違いなくあの瞬間に私と同じように迎えていた人たちがいる。彼らもあの瞬間から戸惑い、悩んでいる。同じように2011年3月11日を生きていた人たちが大勢いる。当り前の事だが、それをしっかりと意識していこう。同じときを刻んだ人たちとこの経験を伝えあい、必ずやって来る次のもっと大きな震災にきちんと対応できるようにするために。

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