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科学的とはどういう意味か (幻冬舎新書)

2011/07/28

 う〜ん・・。なんか急いで書きすぎのような。新書の悪いところがでてしまったような一冊です。
 新書は良く言えば「今欲しい知識をその場で」「週刊誌よりも詳しく丁寧な解説」が信条なのですが、それが悪いほうにでると「今しか売れない」「内容が希薄」になるように私は感じます。
 本書もその背骨である「理系的な考え方の大切さ」はとても大切ですし、強く共感します。原子力発電や地震、津波の科学的な分析とデータをどう理解し、事故が生き延びる為に使うのか。そうした力は全ての人々に必要です。そうした力を育てる事のない現在の教育や社会の在り方に疑問を持つ一人です。
 それだけに、こうした大切なテーマで「震災後に慌てて出した感」があるのは残念です。
 一読して感じた事は「理系VS文系」という対立軸での著者の苦労話に終始している、ということです。私も理系から文系への落武者ですので、その違いがある程度分かるつもりですが、でもそれは個人差以上のものではないように思います。文系でも「著者が言うところの科学的」な考え方をする人は大勢いますし、理系でも逆の人もいるでしょう。
 読んでいて、砂を噛む感じがしたのは、その主張が、まるで血液型で性格分けをする女性たちの主張のように感じてしまった事です。

 ただ、「大きさ、広さを東京ドームに例えるな!」など随所に成程!と思えるところもあり、そうしたところを拾い読めば面白い一冊だと思います。

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