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新版 原発のどこが危険か 世界の事故と福島原発 (朝日選書)

2011/08/06

技術的な記載も多く、むつかしく感ずる人も多いかもしれません。
でもそんな所は飛ばして読んで構わないと思います。なぜなら大事な事は私たちが原子力発電を技術的に理解して運用する事ではなく、原子力発電とはどういうものか、どんな危険性があって、どう対応すべきものなのか、だけ理解できれば良いのです。

 1995年に初版が刊行された本書は比較的技術的な評価が多く、毛嫌いする人も多いかもしれない。そんな風潮が原子力発電に対する甘い評価や中途半端なエネルギー政策に繋がってしまったのではないだろうか。

 20年近くも前に、原子力発電所の総電源喪失による制御不能の危険性をこれだけ的確に指摘されていたとは全く知らなかった。
 なんらかの手を打ち、非常事態に備えることは本書を読む限り十分にできたと思われます。それを行わなかった電力会社や政府の不作為は糾弾されて当然ですが、こうした指摘が存在することを知らずにいて、漫然と電気を使っていた私にも責任があると考えざるを得ません。

 本書は原発推進派、反原発推進派などというくくりではなく、歴史と事実を記載してあります。その評価やこれを読んで次にどんな行動を起こすべきなのかは読者次第なのです。

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